AESCはスペイン工場でLFP電池を生産する(現地時間8日に開かれた起工式)

車載電池のAESC(横浜市)は11日、ニッケルなどの高価な素材を使わないリチウムイオン電池をスペインで生産すると発表した。2026年に稼働する同国の工場で10億ユーロ(約1800億円)以上を投資し量産する。車載用や定置用での需要を見込む。現在主流の車載電池と比べコストが抑えられるため、電気自動車(EV)の低価格化につながる。

生産するリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池は、正極材にリン酸鉄リチウムを使う。ニッケルやコバルト、マンガンを使う「三元系」と呼ばれるリチウムイオン電池に比べてエネルギー密度が低く、航続距離が2〜3割落ちるが、コストも同程度減らせるとみられる。

AESCは現在、中国にある工場で定置用や商用車向けのLFP電池を生産している。欧州ではスペイン工場が初のLFP電池の生産拠点となり、稼働時には最大900人の直接雇用を生み出すとしている。24年度内には米国でも量産を予定しているほか、今後は国内でも検討する。

LFP電池は中国の比亜迪(BYD)が開発で先行しており、同じく中国の寧徳時代新能源科技(CATL)も新型のLFP電池を投入した。日本勢ではトヨタ自動車や日産自動車が開発を目指しているが、航続距離の向上が課題となっている。

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