米ファイザーは落ち込む新型コロナ関連製品の売り上げを補うため、人気が高い肥満症薬の開発を急いでいる=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手ファイザーは11日、同社の肥満症治療薬候補「ダヌグリプロン」について、効果を確認できたとして開発を進めると発表した。同社は新型コロナウイルス関連商品の売り上げが低下しており、人気が高い治療薬の開発を急ぐ。

ダヌグリプロンは1日1回、錠剤タイプの肥満症薬だ。ファイザーの発表によれば、24年下期に最適な投与量を確かめる試験を行う予定。ファイザーは以前、ダヌグリプロンを1日2回摂取する治験も実施していたが、吐き気などの副作用を理由に打ち切った。

肥満症薬の市場をほぼ独占している米イーライ・リリーとデンマークのノボ・ノルディスクの薬は両方とも注射で投与する必要がある。ファイザーが開発している経口薬は利便性の高さから市場に割って入れる可能性がある。11日の米株式市場で、ファイザーの株価は前日比1%上がった。

懸念点もあるようだ。JPモルガン・チェースのクリス・ショット氏は「発表資料で明らかにされなかったため、忍容性(被験者が薬の副作用に耐えられる程度)をめぐる疑問は残る」と述べた。ダヌグリプロンを1日2回摂取する治験では参加者の7割以上が吐き気、5割近くが嘔吐(おうと)を経験したと指摘した。

さらにイーライ・リリーも経口の肥満症薬を開発している途中だ。同社は25年半ばに第3相臨床試験(治験)データを発表する見通しだ。

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