【フランクフルト=林英樹】ドイツ政府は11日、独国内の通信会社に対し、2026年末までに高速通信規格「5G」の通信網で中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の利用を禁じるよう命じたと発表した。さらに27年末までに他社への切り替えも義務づけた。欧米各国と比べ対応に遅れていたドイツがようやく脱中国依存にかじを切った。
独政府は同日までに独国内で事業展開するドイツテレコム、英ボーダフォン、スペインのテレフォニカの主要通信3社と協議し、ファーウェイとZTEの排除で合意した。
通信行政を担当するドイツのフェーザー内務相は「これまでとは異なり、安全保障上のリスクを軽減し、一方的な依存を避けなければならない」とコメントした。ただ他社への切り替え期間が短いと「数十億ユーロのコストがかかる」との通信大手の主張を踏まえ、2年以上の猶予を設けた。
デンマークの調査会社ストランド・コンサルトによると、ドイツで普及する中国製通信機器の比率は4G通信網の57%(20年時点)から、5G通信網では59%(22年時点)に高まった。スウェーデンやノルウェー、デンマークなど北欧各国は脱中国で先行し、4Gで5〜8割だった中国製比率を5Gでは軒並みゼロとした。
英国は20年7月、ファーウェイ製品を27年末までに排除する方針を決めたほか、フランスやベルギーも5Gで中国製比率を下げている。一方、中国企業への依存度が高いドイツはファーウェイ排除に消極的だとみられていた。
ファーウェイは通信基地局で世界シェア3割を占める最大手だ。各国の通信大手にアンテナやシステムなどを一括提供しており、情報流出の懸念からファーウェイ排除の流れが強まっていた。ファーウェイは「セキュリティーリスクを引き起こす検証可能な証拠はない」とし、独政府の決定に反発している。
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