千代田化工建設は12日、持ち運びが可能な装置で取り出した水素を燃料電池を搭載したフォークリフトに充塡する実証実験をシンガポールで始めたと発表した。水素は低温の液体で輸送する方法もあるが、常温で液体の原材料を運び現場に備え付けた装置で取り出すことができれば都市部でも使いやすい。実験を続け、商業化を目指す。
実証実験はシンガポールの南洋理工大学、PSAシンガポールと2025年9月まで実施する。水素は利用時に二酸化炭素(CO2)を実質排出しない次世代燃料として注目される。PSA社が実証実験の場所や燃料電池を動力源とするフォークリフトを提供し、南洋理工大学と千代田化工が効率的に水素を供給する方法を共同で研究をする。
水素はシンガポール国外でトルエンと結合させ、常温で液体の「メチルシクロヘキサン(MCH)」にして輸送する。千代田化工はMCHから水素を分離させる独自技術をもっており、実証実験では小型の装置を使って水素を取り出す。
装置の大きさは幅3メートル、奥行き7メートル、高さ 3.5メートルで、コンテナ船やトレーラーで持ち運ぶことができる。最低限の現地工事で設置でき、都市部などでも活用できる。
千代田化工は20年、民間企業6社とシンガポールでの水素供給に向けた覚書を結んだ。コスト低減や商業化に向けた研究開発を進めている。千代田化工は20年代後半にもシンガポールで水素供給を事業化する。
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