日銀が黒田総裁のもと国債の大量買い入れなど異次元の金融緩和策を導入して1年余りが経過した2014年5月の会合で、岩田規久男副総裁は「想定していたメカニズムにおおむね沿った形で効果を発揮してきた。2%程度に達する蓋然性は、以前よりも高まっている」と述べ、2年程度での物価目標の実現に自信を示していました。

一方、木内登英審議委員は同じ5月の会合で「円安効果が一巡し物価上昇のペースはすでに鈍化を始めた可能性がある。物価上昇率は頭打ちから緩やかに低下する方向とみている」という見方を示し、さらに金融緩和による市場機能の低下など副作用についても言及していました。

白井さゆり審議委員は6月の会合で「前向きの道のりは随所にみられるものの2%の達成と安定的な実現に向けた道のりはまだ道半ばの段階にある」と発言し、物価が見通しどおりに上昇しない場合に取り得る手段も議論しておくべきだと指摘していました。

当時の会合ではこの年の4月に行われた消費税率の8%への引き上げが消費を冷やすリスクや上昇していた原油価格の反動が物価に及ぼす影響を懸念する声も出ていました。

結局、日銀はこの年の10月、原油価格の大幅な下落などを受けて、追加の金融緩和に踏み切り、その後も2%の物価目標を実現できないまま追加の緩和や政策の見直しを繰り返すことになりました。

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