中央教育審議会の特別部会=2024年4月19日、オンライン会議システムの画面より

 教員不足解消に向けた議論をしている文部科学相の諮問機関・中央教育審議会(中教審)の特別部会は19日、残業代を支払わない代わりに一律支給される「教職調整額」について、現行の給料月額の4%から10%以上に引き上げる文科省の素案を大筋で了承した。教員給与特別措置法(給特法)の規定を約50年ぶりに見直すことになる。

 素案には教職調整額の引き上げのほか、負担が大きい学級担任の手当の増額や管理職の給与改善といった処遇改善案が盛り込まれた。一連の対策によって、教員の待遇を一般公務員より優遇すると規定した人材確保法制定後の1980年度に近い約7%の優遇分の確保を目指すとした。優遇分は18~22年度の平均で0・35%まで下がり、一般公務員とほぼ変わらない水準となっている。

 学校の運営・指導体制も充実させるとし、現在小学校5~6年で取り組まれている教科担任制を3~4年生に拡充し、新卒教員には学級担任を回避させるなどの案も提示。若手職員をサポートする新ポスト創設も掲げた。

 働き方改革も加速させるとし、業務量の現状や改善に向けた取り組み状況について教育委員会ごとの公表を検討するとした。残業時間は過労死ラインとされる月80時間を超える教員をゼロにし、将来的には月20時間まで下げることを目指す。

 中教審は5月にも教員確保のための総合的な方策を取りまとめる。政府は6月に策定する「骨太の方針」に盛り込む方針。【斎藤文太郎】

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