日本銀行から贈呈された新1000円札や、葛飾北斎の富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」などを展示しているコーナー=横浜市中区で2024年7月4日、遠藤和行撮影

 7月3日に発行された新紙幣。20年ぶりにデザインが一新され、発行当日から金融機関に列ができるなど注目を集めた一方、日本経済にプラスの影響を及ぼすと考えている企業は約35%だったことが帝国データバンクの調査で分かった。

 新紙幣の発行で日本経済にどのような影響があるか、今後の見込みも含めて尋ねたところ、「プラスの影響」と答えた企業は35・1%。「マイナスの影響」の14・3%を20ポイント超上回った。一方、「影響なし」は32・5%と2番目に多く、「分からない」とした企業も18・1%あった。

 企業の規模別にみると、大企業ではプラスの影響と答えた社が45%だったのに対し、小規模企業では27・5%と20ポイント近い差があった。

 具体的な影響について複数回答で聞くと、券売機などの機種の入れ替えやシステム改修といった「企業の費用負担の増加」が55・5%に上った。逆に「特需による企業の売り上げ拡大」も37・3%あり、新紙幣発行に伴うシステム移行の影響が大きいことがうかがえた。また、「肖像の人物ゆかりの地・企業の活性化」(35・6%)、「キャッシュレス化の後押し」(31・6%)、「偽札被害の減少」(30・7%)なども挙がった。

 帝国データバンクは「紙幣の利用減少を受け、紙幣の刷新が及ぼす影響はこれまでより小さくなっているが、物価高や人手不足などで低迷する日本経済にとって明るい話題となった点は間違いないだろう」としている。

 調査は7月5~10日、インターネットで1003社から回答を得た。【井口彩】

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