大手企業の経営トップが参加した経団連の夏のフォーラムは19日最終日を迎え、2040年に目指すべき日本の経済や社会についての議論を深め、総括文書を取りまとめました。

この中では、AIなどの技術で社会全体のデジタル化が進み、イノベーションによる価値が世界に先駆けて創出される状況を目指すべきだとして、政府と連携したスタートアップの振興などが必要だとしています。

また、地域経済の活性化では、人口減少や少子高齢化に対応し、広域の経済圏をつくるため、新たな道州制の導入を含めて見直しを進めること、グローバルなリーダー人材の育成に向けては初等教育や中等教育の段階から産業界と連携した教育が行われることなどが必要だとしています。

19日の会合には岸田総理大臣が出席し、今回、議長を務めた日立製作所の東原敏昭会長と経団連の十倉会長が文書を手渡しました。

経団連 十倉会長「年末にまとめるビジョンの材料になった」

経団連の十倉会長はフォーラム後の記者会見で、「相互に影響を及ぼしあう課題について分析し、議論することができた。年末にまとめるビジョンのよい材料になった」と述べ、2040年に目指すべき日本の経済や社会のあり方を示すビジョンの策定に向けて、議論が深まったという認識を示しました。

一方、今回のフォーラムの総括文書に盛り込んだ新たな道州制については、「議論はまだ緒に就いたばかりで煮詰まっていない。ただ、中央集権で47都道府県あれば多様性を確保するのは無理がある。10ぐらいで競い合い、多様性を持って切磋琢磨(せっさたくま)する。日本はなかなか変化しないし多様性に富まないし流動性も起こらないので、それを打破するには、システムを考えたほうがいい」と述べました。

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