中国国旗=ゲッティ

 中国人民銀行(中央銀行)は22日、長短期の主要政策金利を相次いで引き下げた。不動産不況や個人消費の低迷が長期化する中、金融緩和で実体経済を支える姿勢を示したが、引き下げは小幅で、どこまで景気下支え効果があるか見通せない。

 人民銀が引き下げたのは、金融機関の貸出金利の目安となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物と5年物、金融機関に資金供給する際の7日物リバースレポ金利で、それぞれ0・1%引き下げた。利下げは1年物と7日物は2023年8月以来約1年ぶり、5年物は24年2月以来5カ月ぶりとなった。

 背景にあるのが、足元の中国経済の失速だ。15日に発表された24年4~6月期の成長率は4・7%にとどまり、1~3月期の5・3%から落ち込み、5・0%の市場予想も下回った。エコノミストらの間では、今月は金利を据え置くとの見方が多く、予想外の利下げで市場の期待をつなぎとめた形だ。

 また、中国では近年、LPRが主要政策金利と位置づけられていたが、最近は銀行が企業・個人に融資する際の金利が「最優遇」であるはずのLPRを下回るケースも目立ち、形骸化が進んでいた。人民銀は今後7日物を政策金利として重視する姿勢を見せており、今回の利下げで、日米欧型の短期金利中心の金融政策へのシフトが加速する可能性がある。

 ただ、15~18日開催の中長期の経済政策を議論する中国共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回総会(3中全会)では、不動産不況対策や消費喚起策の抜本策は示されなかった。企業や消費者の成長期待は高まっていない。人民元安が進む懸念があり、利下げは小幅にとどまったことから、株式市場の反応も鈍く、「景気下支え効果は微妙」(国際金融筋)との見方が出ている。【北京・小倉祥徳】

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