【ニューヨーク=西邨紘子】工業製品・事務用品大手の米スリーエム(3M)が26日発表した4〜6月期決算は、売上高は前年同期と比べ0.5%減の62億5500万ドル(約9600億円)で市場予想を上回った。電気機器や半導体産業向けの部材の販売が寄与した。最終損益が11億4500万ドルの黒字だった。前年同期は訴訟関連の費用がかさみ、最終損益は68億4100万ドルの赤字だった。
為替の影響などを除いた調整後ベースの売上高は前年同期1.2%増の60億ドルだった。訴訟関連費用などを除いた調整後の1株利益は1.93ドル(前年同期は1.39ドル)で、いずれも市場予想を上回った。
アジア地域での電気機器向け産業材などの販売が貢献し、主要部門の「交通・電気機器」の売上高が前年同期と比べ2.6%増となった。
3Mは近年、産業材の需要落ち込みが逆風となり、業績が伸び悩んでいた。だが今年に入り、これまで業績の重荷となってきた有機フッ素化合物「PFAS(ピーファス)」や軍事用耳栓の安全問題を巡る大型訴訟で和解が成立した。
4月1日には主要事業部門の1つだったヘルスケア事業の分社を完了し、5月に就任したウィリアム(ビル)・ブラウン最高経営責任者(CEO)の元で「再出発」への地盤を整えた。
ブラウンCEOは決算説明会で投資家に対し、3Mの販売商品が「率直に言って古びてきている」と経営課題を指摘。成長回帰に向け、新製品開発投資や組織効率化などの見直しに取り組む方針を示した。
2024年12月通期の業績見通しは調整後1株利益で7.00〜7.30ドルとし、従来予想の6.80〜7.30ドルから下限を引き上げた。
予想を上回った売上高や新CEOによる改革方針を好感し、26日の米株式市場で3Mの株価は急騰。終値は前日比で2割を超える上昇率となった。
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