調剤薬局最大手のアインホールディングス(HD、札幌市)は30日、定時株主総会を札幌市内で開いた。大株主で「物言う株主」として知られる香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」から出ていた社外取締役2人の解任など4件の株主提案はすべて否決され、会社提案の役員選任議案などが承認された。

 総会には約50人の株主らが出席。オアシスは株主提案で、子会社の元社長(アインHD元常務)らが昨年、病院の敷地内薬局の整備をめぐる入札妨害事件で逮捕、起訴されたことを問題視。「コーポレート・ガバナンス(企業統治)体制の抜本的な改善が喫緊の課題」として、資本業務提携関係にあるセブン&アイHDの代表取締役副社長である伊藤順朗氏ら社外取締役2人の解任などを求めていたが、総会で否決された。ただ、両氏は、株主総会をもって任期満了により退任となった。

 一方、会社提案の新たな社外取締役候補3人は承認された。会社側も、事件の再発防止に向け、法務やコンプライアンスに詳しい役員が能力を発揮できる構成となるように新任候補者選びを進め、元名古屋高裁長官の綿引万里子氏らを新たな社外取締役候補として提案。会社側は「監督機能の一層の強化を図る」と訴え、承認された。

 オアシスの4月時点の株式保有比率は約15%で、筆頭株主となっている。総会では、オアシスの要求は受け入れられなかったが、オアシスが問題視した入札妨害事件の再発防止をめぐっては、総会後に一般株主の1人も「今後、ガバナンスが根付き、二度と事件が起きないことを期待している」(大阪府の50代の会社員女性)と注文を付けた。実際に再発が防止できるガバナンスの実効性が問われている。(佐藤亜季)

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