▼風力発電の国内供給網 風力発電所を造るための環境調査から設置、撤去までの一連の供給体制を示す。政府は2040年までに洋上風力発電の国内調達比率6割という目標を掲げる。国内に大型風車のメーカーはなく、風車そのものは欧米メーカーに頼っており、風車内部の機械部品や周辺設備の育成が軸となる。

経済産業省によると、風車製造のコスト構成は運営・保守の割合が最も高く、風車製造や設置工事が後に続く。清水建設や五洋建設は風車の施工や修理に必要な「SEP船」を建造したほか、日本郵船はメンテナンス人材の育成を急ぐ。風車でもデンマークのベスタスが三菱電機や駒井ハルテックと部品調達に向けて協議するなど、国内調達を進める。

海外では中国メーカーが割安な価格で輸出を増やしていることを念頭に、関連産業を保護する動きもある。30年に国内調達比率6割を掲げる英国は国内8地域を洋上風力の産業集積地として、工場の誘致を進める。台湾は部品や工程ごとに国内調達の目標を定めた。日本も経済安全保障上、発電インフラ設備を国内で確保する産業基盤の整備が課題となる。

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