欧州中央銀行(ECB)は11日、定例理事会を開き、主要政策金利を5会合連続で据え置くことを決めた。ユーロ圏20カ国の物価上昇(インフレ)率はECBの中期目標である2%に近づいているが、賃上げなどによるインフレ再加速の懸念が拭えないため、利下げを見送った。ECBは欧州各国の賃金データを見極め、次回6月会合以降に利下げを検討する。
ECBは民間銀行が資金を借り入れる際の主要政策金利を4・5%、民間銀行が資金を預ける際の中銀預金金利を4・0%で維持した。
欧州連合(EU)統計局によると、ユーロ圏の3月の消費者物価指数上昇率は前年同月比2・4%で、3カ月連続で縮小した。変動の大きいエネルギーや食料品を除いたインフレ率も2月の3・1%から3月は2・9%に縮小。2022年3月以来、初めて3%を下回り、物価の低下傾向が鮮明になっている。
ただし、ユーロ圏の2月の失業率は過去最低水準の6・5%で、物価高と人手不足が続く中、賃上げによるインフレ再加速の懸念が依然残る。賃金動向の影響を受けやすいサービス部門のインフレ率(3月)も4%の高い水準にとどまっている。
一方で、長引く物価高でユーロ圏の景気は低迷しており、金融緩和への期待が高まっている。ECBは5月に出そろう欧州各国の1~3月期の妥結賃金のデータを分析し、次回6月会合以降に利下げの可否を判断する。【岡大介、ブリュッセル宮川裕章】
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