英会話は水泳と並ぶ人気の習い事(写真はイメージ)=ゲッティ

 趣味や学習の「習い事教室」の売上高が、新型コロナウイルス禍以前の水準に戻るも、利益は半減していることが明らかになった。

 東京商工リサーチの調査によると習い事は、新型コロナ禍で休業や生徒減など苦しい状況に陥っていたが、2022、23年は売上高増が続き、上向きの傾向になっている。ただ物価高のなか、月謝の値上げができないところも一部でみられる。同社は「新型コロナの影響は根深く、(コロナ禍以前の)19年の利益水準に戻るには相応の時間が必要」と分析している。

 対面型のエアロビクスや外国語会話教室、音楽教室など「教養・技能教授業」の399社を抽出、分析したところ、売上高は新型コロナ禍に見舞われ低迷した20、21年と比べて22年は大きく回復。23年は前年比5・3%増の計1389億6100万円となった。

 ただ、経費などを差し引いた利益をみると、19年の32億4200万円に対し、23年は15億1100万円で半減以下となった。

 利益を減らした理由は、電気代値上げなど物価高の影響で運営コストが上昇していることがある。さらに実質賃金が目減りするなか、月謝の値上げに踏み切れば他の教室へ生徒が流出する可能性もあり、東京商工リサーチは「安易に値上げしにくい環境にある」と分析する。

 23年の黒字企業は257社(64・4%)で前年の255社(63・9%)をわずかに上回った。ただ20~23年の赤字企業は、19年の水準より高い35%前後で推移している。倒産した企業も全国で前年比16・6%増の49件発生している。

 業界の規模を調べると、従業員10人未満が60・4%、売上高1億円未満が64・4%と、個人や小規模企業が多くを占める。東京商工リサーチは「豊富な資金力で人員獲得を進める大手に対し、小規模企業は優良なコンテンツを継続的に提供できるかがカギになる」としている。【嶋田夕子】

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