トヨタ自動車が1日発表した2024年4〜6月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比17%増の1兆3084億円と4〜6月期として過去最高を更新した。車の量産に必要な「型式指定」の認証不正の問題などを受けた国内の生産減を、円安の押し上げ効果が補った。北米を中心にハイブリッド車(HV)販売も堅調に伸びた。
ただ、新たな認証不正の発覚や日米の金融政策転換による円高進行などもあり、先行きには不透明さも残る。
売上高は前年同期比12%増の11兆8378億円、純利益は2%増の1兆3333億円だった。営業利益は市場予想の平均であるQUICKコンセンサスの1兆3885億円を下回った。決算発表後、トヨタ株は一時前日比8%下落した。
円安による利益の押し上げ効果は3700億円だった。期中平均の為替レートは1ドル=約156円と、通期の為替レートの前提である1ドル=145円から10円程度円安だ。原価改善も950億円寄与し、賃上げなどに伴う労務費増や原材料高を補った。
世界の車大手は軒並み振るわない。米テスラの24年4〜6月期の営業利益は33%減った。国内勢では日産自動車は営業利益が99%減となった。稼ぎ頭の米国は高金利が続き、消費者の購買意欲が衰えている。
電気自動車(EV)に比べて価格や航続距離で優位性を持ち、トヨタが強みとするハイブリッド車(HV)が好調だ。4〜6月の販売は前年同期比22%増の97万台と、「トヨタ・レクサス」ブランドの販売全体に占めるHVの比率は約4割に上る。好採算のHVがけん引し、トヨタの営業利益率は11%とテスラの6%を上回る。
好調なトヨタだが、懸念材料も多い。4〜6月の「トヨタ・レクサス」ブランドの世界生産は7%減の236万台だった。国内では76万台と9%減った。リコール(回収・無償修理)となった新型「プリウス」の生産が約2カ月止まり、6月に認証不正が発覚した「ヤリスクロス」など現行車種の生産停止も響いた。
7月31日には新たに7車種で不正が発覚し、ミニバン「ノア」「ヴォクシー」の出荷停止が明らかになった。国土交通省がトヨタに対して組織体制の改善を求める「是正命令」を出す事態に発展した。
海外生産も6%減の160万台だった。米国は堅調な一方で、中国では現地企業との競争激化が続く。EVで出遅れる中で大型休日に合わせた販売促進活動などを強化するものの、価格競争を辞さない中国勢に押される状況が続く。
トヨタの業績を支えた円安も足元では反転している。日米で金融政策の変更が見込まれ、7月31日には日銀が利上げを決めた。円は対ドルで急上昇して1ドル=149円台を付けた。
25年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は2%増の46兆円、純利益は28%減の3兆5700億円とした。通期の想定為替レートは1ドル=145円と足元の実勢より円高で据え置いた。
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