APモラー・マースクは3度目の上方修正を発表した=ロイター

【フランクフルト=林英樹】海運世界大手デンマークのAPモラー・マースクは1日、2024年12月通期の業績予想を上方修正したと発表した。イスラム組織ハマスのハニヤ最高指導者が死亡し、中東情勢の混迷が深まるなか、海上運賃が長期間、高止まりするとみられているからだ。上方修正は5、6月に続いて3度目となる。

24年12月通期のEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)見通しを90億〜110億ドル(約1兆4000億〜1兆7000億円)、EBIT(利払い・税引き前利益)を30億〜50億ドルに上方修正した。6月3日に70億〜90億ドル、10億〜30億ドルに引き上げていた。

イエメンの親イラン武装組織フーシによる紅海攻撃で、約8割のコンテナ船が最短ルートの紅海を航行せず、南アフリカの喜望峰を迂回している。運航日数が延び、運賃は上昇傾向が続く。

国際的なコンテナ船の運賃市況を示す上海輸出コンテナ運賃指数(SCFI)は7月26日時点で3447.87と、1年前の3.5倍の高値を維持している。マースクは「紅海の状況によるサプライチェーン(供給網)の混乱は少なくとも24年末まで続く」とみている。

同社の株価は1日、上方修正の発表後に一時、前日終値比で4%上昇したが、その後下がった。同日発表した24年4〜6月期決算の速報値は、売上高が128億ドル、EBITDAは21億ドルでともに市場予想を下回った。

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