米国旗=米首都ワシントンで2023年11月14日午後、西田進一郎撮影

 2日のニューヨーク(NY)外国為替市場で円相場が対ドルで上昇し、一時1ドル=146円台前半と2月上旬以来、約半年ぶりの高値をつけた。同日発表された雇用統計などを受けて米経済の減速懸念が強まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が強まった。

 一方、NY株式市場ではダウ工業株30種平均が続落し、前日比610・71ドル安の3万9737・26ドルで取引を終えた。7月10日以来約3週間ぶりの安値。米経済の先行き悪化懸念から幅広い銘柄が売られた。ダウ平均の下げ幅は一時960ドルを超えた。

 2日発表の7月雇用統計で失業率が4・3%と2021年10月以来の水準に悪化し、米経済が予想以上に減速しているとの懸念が広がった。市場ではFRBが次回9月会合で利下げに踏み切るとの観測が強まり、ドルを売って円を買う動きが活発化。雇用統計の発表前に1ドル=149円前後で取引されていた円相場は急騰し、2円以上円高・ドル安が進んだ。

 FRBの利下げは0・25%刻みで実施するのが通例だが、雇用環境の想定外の悪化を受け、市場では「9月会合で従来の2倍の0・5%の利下げをするのでは」(米銀アナリスト)との見方も浮上している。

 米市場の円高進行や株価下落の流れは、週明けの東京市場にも波及する可能性がある。【ワシントン大久保渉】

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