静岡県湖西市と豊橋技術科学大学や同大発ベンチャー企業の豊橋バイオマスソリューションズ(愛知県豊橋市)が小規模な自治体が導入できるバイオマス発電の実証実験に乗り出す。新技術により下水汚泥や家畜排せつ物など幅広いバイオマス資源の活用モデルを産学官で築く。全国に広げ脱炭素化を支援する。
次世代型小規模メタン発酵システムの実証実験について19日に3者が基本合意した。小規模な下水処理場から出る少ない汚泥でも設備投資に見合うバイオマス発電を目指す。人口5万人未満の自治体の処理場は900を超え全国の約6割だが、バイオマス発電を備えるのは1%足らずという。
実証では湖西市内の下水処理場「湖西浄化センター」に、豊橋バイオマスソリューションズなどが開発した特許技術「アンモニア除去・回収システム」を設ける。微生物の活性を弱めず発酵が続くようにアンモニアを取り除き、少量の資源から発電に必要なメタンガスを効率よく生み出す。
下水汚泥に加え、し尿・浄化槽汚泥、生ごみなど多様な廃棄物の活用を探る。市内で盛んな養豚で出る排せつ物も生かせるとみる。汚泥だけでは下水処理場の年間消費電力の1割程度しか賄えない発電量を新技術などで5〜6割に引き上げ、さらに向上を見込む。実験設備から始め5年後には実機レベルを目指す。
実証は国土交通省の2024年度の「下水道応用研究」に採択され、委託金約3000万円を得た。
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