高層ビルが建ち並ぶ東京都心。中央奥は皇居=東京都港区で

 新型コロナ禍などで進んだ「脱都心」の動きの一つで、都市部から地方などへ本社を移転する企業が増加している。東京商工リサーチの2023年度の調査によると、本社を千葉県内に転入した企業数から転出した企業数を差し引くとプラス104社で、転入超過は全国最多だった。転出超過が最多だった東京都(マイナス631社)の企業の受け皿となっている。

 23年度に都道府県をまたいで本社や本社機能を移転した企業は1万3701社で、前年度比3・3%増だった。新型コロナの5類移行で経済活動が本格的に再開し、需要の活発化に合わせて本社移転の動きが強まったとみられる。

 県内に転入した企業は992社で、転出は888社だった。21年度がプラス357社、22年度は同126社で、3年連続で転入超過となった。一方で、転出数も増加しており、同社は「都心回帰の流れが強まると、一気に転出超過に転じる可能性を残している」と指摘する。

 都道府県別で転入超過が多かったのは、千葉に続いて茨城県(プラス96社)、長野県(同68社)、京都府(67社)。一方、転出超過は東京都に次いで、大阪府(マイナス217社)、宮城県(同68社)の順だった。

 移転をした企業を業種別で見ると、サービス業(5254社)、情報通信業(1672社)、小売業(1423社)の順に多く、上位3業種で6割を占めた。

 同社は「円安による生産拠点の国内回帰などで、周辺産業や企業を呼び込む大手メーカーの拠点進出が各地で期待されている。企業の戦略に合わせた本社移転はさらに活発になる可能性が高い」としている。【小林多美子】

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