上げ幅が一時3400円を超えた日経平均株価などを表示するモニター=東京都中央区で2024年8月6日午前10時17分、猪飼健史撮影

 6日の東京株式市場で、日経平均株価(225種)は全面高となり、急反発した。終値は前日比3217円04銭高の3万4675円46銭。上げ幅は1990年10月に記録した2676円高を超え、過去最大となった。前日には4451円安と過去最大の下げ幅を記録したが、一転して多くの銘柄が買い戻され、前週末からの荒い値動きが続いた。

 日経平均は8月に入って3営業日連続で下落。8000円近く値を下げ、多くの銘柄に割安感が出たことから、6日の東京市場は取引開始直後から買い注文が集まった。上げ幅は一時3400円を超え、大阪取引所では前日に続き、先物などの売買を一時中断する対応が取られた。

 週明け5日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は前週末比1033ドル(2・6%)安と大幅続落。主要指数もそろって下落したが、5日の東京市場に比べると下げ幅は限定的だった。また、米国で5日発表されたサービス業に関する経済指標が市場予想を上回り、米景気の後退懸念が和らいだ。

 5日には東京外国為替市場で一時1ドル=141円台まで円高・ドル安が進んだが、6日は146円台まで円安が進み、輸出関連株が買い戻された。午後5時時点の円相場は前日比1円82銭円安・ドル高の1ドル=145円29~31銭。

 株価の乱高下について、楽天証券の窪田真之チーフ・ストラテジストは「5日の暴落は、先物の売りを急ぐ海外ファンドが主導した可能性が高く、異常な下げだった」と指摘。「6日は割安感が意識され個人投資家や企業に買い注文の動きが広がった」と分析する。

 アジア各国の市場も5日の大幅下落から反発した。前日比の上昇率は韓国総合株価指数(KOSPI)が一時5%超となるなど、世界同時株安にいったんは歯止めがかかった。

 ただ、株価急落の一因となった米経済の後退懸念は解消されておらず、市場の先行きには不透明感も漂う。りそなアセットマネジメントの黒瀬浩一チーフストラテジストは「11月の米大統領選までは荒い値動きが続きそうだ」という。一方で「日本経済が崩れたわけではない。企業業績は堅調で、年末にかけて株高が進む」と予想する。

 日経平均株価の乱高下や外国為替市場での円相場の急変動を受け、財務省と金融庁、日銀は6日、3者会合を開催し、対応を協議した。会合後、記者団の取材に応じた三村淳財務官は「日本経済が緩やかに回復していくという見通しに変わりない」との認識を共有したとした。

 その上で「緊張感を持って、しかし同時に冷静に、何が起きているのかを見極めていくことが大事だということで一致した」と話した。【成澤隼人、加藤美穂子】

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