オンライン会見する十時裕樹社長(7日)

ソニーグループの十時裕樹社長は7日、オンライン業績説明会で米メディア大手パラマウント・グローバルを巡る買収合戦から撤退したことについて、「リスクや経営資源の配分の観点から戦略にフィットしない」と話した。主な一問一答は以下の通り。

――パラマウントの買収合戦から撤退した理由は。

「(買収では)優良な作品や資産にフォーカスしている。適正な価格で買収できる取引であれば買収を検討する。パラマウントはかなり大きい会社であり、会社全体を買収するのはリスクや経営資源の配分の観点から戦略にフィットしない」

――作品の知的財産(IP)をM&A(合併・買収)する戦略は続くのか。

「エンターテインメント事業は何らかの形でIPが絡んでくる。全体としてIPを強化する方針には変わりなく、できるだけ成長させたい。金融を除いた連結ベースで営業利益を年平均10%以上伸ばし、累計の営業利益率を10%以上にするという中期経営計画の目標に向かって施策を実施していく」

――為替相場の変動が激しくなっている。外部の経営環境の変化の影響は。

「現在はビジネスの規模に比べて、為替の影響はそこまで大きくない範囲にとどまっている。為替感応度でシミュレーションすると、円高・ドル安に10円振れ、リニアにユーロも動いたとすると利益が700億〜800億円悪化する。そうなる前に為替予約やコスト削減などの対策を実施する。為替が業績に直接的に影響するとは考えていない」

――世界景気の減速や米国大統領選の動向をどう見ているか。

「世界景気は米国にけん引されているところがある。ソニーGの事業で一番気にするべきものも米国経済で、とりわけ消費動向を気にしている。現在は景気減速のシグナルが出ているが、それがどれほどの深さや長さになるのかは見通しが難しく、注意深く見守っている。米大統領選に関しては、米国民の選択を尊重する」

――半導体イメージセンサーは中長期で他社が参入してくるリスクがあるのではないか。

「ハイエンド(高価格品)向けの出荷が伸びており、生産が伸びている。他社の参入リスクに関しては今に始まったことではない。競争環境の中で常に分析し弱みを克服し技術で勝っていかなければならない。ただ中長期では他社の参入リスクについての蓋然性は低い」

「半導体イメージセンサーは(対中輸出規制など)米中関係に関する影響を受けた過去もある。地政学リスクには注意したい」

――ゲーム事業では構造改革を進めている。

「足元では(22年に買収した)米ゲーム大手のバンジーの構造改革を進めている。目的はコスト構造とポートフォリオ(事業構成)の改革だ」

「効率化を高めるためにバックオフィス機能はゲーム子会社のソニー・インタラクティブエンタテインメントの開発スタジオとの統合を進める。バンジーは(コンテンツを逐次追加する継続課金式の)ライブサービスゲームなどのゲーム開発に集中してもらう」

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