楽天グループは8日、豪投資ファンドから最大3000億円調達すると発表した。調達した資金は傘下の楽天モバイルの設備投資などに充てる。楽天Gは携帯事業の設備投資資金を主に社債で調達してきた。資金の調達方法を多様化し、財務体質の改善につなげる。
保有資産を売却して借り直す「セール・アンド・リースバック」取引を活用する。豪投資ファンドのマッコーリー・アセット・マネジメントに楽天モバイルの一部の通信設備などを売却し、その後借り直す。設備の管理・運用は引き続き楽天モバイルが担う。
資金調達額は1500億〜3000億円を予定している。リース条件などは今後詰める。マッコーリーは豪大手投資ファンドで、2024年3月末時点で約6117億米ドル(約89兆円)を運用している。
リース期間は10年。調達した資金は6月に商用サービスを開始した電波がつながりやすい周波数帯「プラチナバンド」の整備などに投資するとみられる。楽天Gの三木谷浩史会長兼社長は「この取り組みを通じて財務的にさらに盤石な体制を築く」としている。
楽天は20年、携帯事業に本格参入し、基地局の建設などに1兆円超を投じてきた。24年も1000億円弱の設備投資を予定している。ただ、携帯基地局への投資資金は主に社債で調達しており、ここ数年は社債の償還が懸案となっている。
調達する資金は携帯事業の設備投資に充てる計画だ。楽天Gは今回の資金調達が実現すれば「電子商取引(EC)や金融事業からのキャッシュフローを有利子負債削減に優先的に充当できる」としている。
楽天の携帯事業は足元で復調しつつある。三木谷氏は1日に東京都内で開いた社内イベントで「現在750万件弱のユーザーがいる」と明かした。法人契約などが好調に推移しており、6月には法人回線を含む携帯電話の契約回線数が過去最高の700万件を超えている。
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