パラマウントは、名門映画スタジオであるパラマウント・ピクチャーズなどを傘下に持つ(23年9月)

【ニューヨーク=清水石珠実】米メディア大手パラマウント・グローバルは8日、2024年4〜6月期決算で最終損益が54億1300万ドル(約7950億円)の赤字(前年同期は2億9900万ドルの赤字)だったと発表した。テレビ放送事業の評価下落で59億9600万ドルの減損損失を計上した。売上高は前年同期比11%減の68億1300万ドルだった。

米国では、消費者が有料テレビを解約し動画配信に乗り換える「コードカッティング」が増えている。視聴者の減少を受け、ライセンス収入や広告収入が減少した。「パラマウント+(プラス)」など動画配信サービスを成長の軸にする戦略を進めるが、その成長を上回るスピードでテレビ事業の価値が低下している。

パラマウントは4〜6月期に動画配信事業が初の営業黒字となったと発表した。利用者が拡大し利益率は改善傾向にあるが、同事業の売上高は18億8000万ドルでテレビ事業(42億7100万ドル)の半分以下に過ぎない。

7日には、別の米メディア企業ワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)がテレビ放送事業で91億ドルの減損を計上した。

パラマウントは、地上波テレビ局のCBSやケーブル局の「MTV」や「ニコロデオン」、映画大手パラマウント・ピクチャーズなどを傘下に持つ。8日、全社で年間約5億ドルのコスト削減に取り組み、米国の従業員の15%を削減する計画も発表した。米メディアによると、約2000人が削減の対象となる。

パラマウントは7月上旬、米映画製作大手スカイダンス・メディアによる事実上の買収を承認したが、45日間を猶予期間として他社の買収提案も受け付けている。一時買収に関心を示していたソニーグループは「戦略にフィットしない」として買収合戦から撤退した。パラマウントは8日、スカイダンスによる買収手続きは25年6月までの完了を見込んでいるとした。

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