原発の使用済み核燃料を再処理するまでの間、青森県むつ市の施設に運んで一時的に保管する全国初の中間貯蔵事業を巡り、立地自治体の県と市は9日、事業の開始に必要となる安全協定を施設の運営事業者と締結した。再処理工場(同県六ケ所村)の稼働が遅れ、再処理で発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分場も未定の中、むつ市への搬入手続きが前進する。
運営事業者は、東京電力ホールディングスと日本原子力発電が共同出資する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)」で、9月までの事業開始を目指している。保管するのは2社の使用済み燃料で、操業に先立ち、搬入第1弾として東電柏崎刈羽原発4号機(新潟県)の燃料69体を格納した「キャスク」と呼ばれる金属製容器1基を受け入れる計画だ。
青森市内で9日午後、3者による協定調印式が開かれ、RFSに出資する2社も立会人として署名した。協定は、周辺地域住民の安全確保と環境保全を目的に自治体の権利とRFSの義務を定める。貯蔵期間は50年間とし、「使用済み燃料は貯蔵の終了までに搬出する」と明記。施設の増設には県と市の事前了解を得ることや、平常時の報告と異常時の連絡、県と市の立ち入り調査権限なども規定している。
調印後の記者会見で宮下宗一郎知事は「安全を第一に事業開始に向けたプロセスに入っていただきたい」と述べた。高橋泰成RFS社長は「キャスクを持って来られる環境は整ったが、時期ありきというより、安全を最優先に進めるのが第一だ」と語った。
安全協定の調印式を終え、あいさつする(左から)東京電力ホールディングスの小早川智明社長、リサイクル燃料貯蔵の高橋泰成社長、青森県の宮下宗一郎知事=9日午後、青森市
安全協定の調印を終え、記者の質問に答える青森県の宮下宗一郎知事=9日午後、青森市
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