【フランクフルト=林英樹】ドイツ鉄鋼・機械大手のティッセン・クルップが14日発表した2024年4〜6月期決算は、最終損益が5400万ユーロ(約88億円)の赤字(前年同期は8300万ユーロの黒字)だった。鋼材価格の下落と需要減が長引き、鉄鋼部門で採算が悪化した。24年9月期業績見通しについて三たび下方修正した。
自動車や機械、建設産業など主要顧客の需要が軟化し、24年4〜6月期の受注額は11%減の83億5500万ユーロにとどまった。売上高は89億8600万ユーロで6%減った。
鉄鋼部門をめぐる景気低迷に加え、セメント部門のプロジェクトで8000万ユーロの追加費用が生じ、営業利益に相当する調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は39%減の1億4900万ユーロだった。
イェンス・シュルテ最高財務責任者(CFO)は同日の決算記者会見で「鉄鋼業界はダイナミックに動きにくい。構造改革は順調に前進しているが、外部環境が助けにはならない」と語った。
「今期の市場は短期的に安定しない」として同社は24年2、5月に続き、24年9月期の売上高と調整後EBIT、最終損益の予測を下方修正した。鉄鋼部門をめぐっては、チェコのエネルギー大手EPコーポレート・グループに、鉄鋼を手がける子会社の株式を一部売却することで合意している。
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