企業のデジタル化支援を手がけるDTSは15日、公表済みの2024年3月期決算短信を訂正すると発表した。連結純利益を15億円下方修正し、訂正後の純利益は前の期比9%減の72億円(訂正前は11%増の88億円)と一転減益になった。
DTSでは海外子会社で取引先に対する不正な金銭のやり取りがあったことが発覚した。海外子会社の事業計画を保守的に見直したことに伴い、新たにのれんやソフトウエアなどの減損損失を計上した。同日、24年3月期の有価証券報告書を関東財務局に提出したことも発表した。
外部弁護士やDTSの常勤監査委員らで構成する特別調査委員会が8月上旬にまとめた報告書によると、DTSの海外子会社の経営幹部が実際には存在しない業務に対して支払いした後に現金を回収し、顧客に納めて案件を得ていた。不適切な支払いはDTSが同海外企業を子会社化する前の遅くとも2011年から組織的になされていたと認定した。
特別調査委は「(不正のあった)海外子会社の非常勤取締役が贈賄に関する情報を得ていたにも関わらずDTSに適切に伝達していなかった」などとして管理体制の不行き届きを指摘していた。
調査委の提言を受け、DTSは15日の取締役会で外部専門家の監査委員の選任や管理業務の人員拡充といった再発防止策を決議した。
DTSが同日発表した24年4〜6月期の連結決算は、純利益が前年同期比11%増の20億円だった。銀行などを対象とする有価証券管理システムの構築事業が好調だった。売上高は8%増の288億円で、営業利益は14%増の29億円だった。
4〜6月期決算の発表は当初7月29日を予定していた。不正取引についての調査や追加的な監査手続きなどが必要となったために公表を延期していた。
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