ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(HD)は16日、取締役として安田隆夫創業会長兼最高顧問(75)の長男、安田裕作氏(22)を選任すると発表した。売上高2兆円を超える東証プライム上場の企業が20代の取締役を選任するのは珍しい。
安田裕作氏は9月27日開催予定の定時株主総会での承認を経て、非常勤の取締役に就任する見通しだ。ドンキの店でアルバイトとしての勤務経験がある。2024年1月にパンパシHD(PPIH)に入社し、海外事業や安田会長に関わる事務などに従事していた。今後は海外事業も管掌させる方針だ。
20代を取締役会に迎えて経営戦略に若年層の感覚を取り入れる。ドンキは10〜20代をファンにして、30代以降も店を継続利用してもらう戦略で成長してきた。独自の電子マネーアプリ「majica(マジカ)」では、若年層人口の50%を会員とすることを目標に掲げている。
取締役の現状の年齢構成は40〜70代と主に照準とする層と離れている。同日の決算説明会で吉田直樹社長は「10〜20代の半分を会員として獲得する野心があり、(取締役会でも)若い感性を入れたかった」と起用の理由を述べた。
PPIHは安田会長が創業した。1978年にディスカウント店「泥棒市場」を開いたのを皮切りに89年にはドン・キホーテの1号店を出店した。24年6月期まで上場前を合わせて35期連続の増収増益となり、連結売上高も2兆円を超えた。
創業者の家族を取締役に選任し、ガバナンス(企業統治)の一翼を担わせる手法はユニクロのファーストリテイリングと同様だ。ファストリは、ユニクロ創業者の柳井正会長兼社長の長男と次男が18年に取締役へ就任した。柳井氏はかねて2人の息子については業務執行の責任を負う社長にはしない方針を示している。
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