元日の能登半島地震で、被災地の有効求人倍率は低調が続いていたが、わずかに好転する兆しが見え始めた。全国や石川県の平均は大きく下回るものの、製造業やサービス・小売業などで回復の動きが見えてきた。
厚生労働省石川労働局によると、奥能登(輪島、珠洲両市と能登、穴水両町)を管轄するハローワーク輪島の6月の有効求人倍率は0・69倍だった。前年同月比だと0・47ポイント減だが、今年4月が0・62倍、5月が0・64倍と徐々に戻りつつあるという。古口浩一・職業安定部長は「製造業で大口の求人が発生するなど、事業を再開する動きも出てきた」と話す。
建築資材を製造し、珠洲市に生産拠点の一つの事業所がある「キョーワ」(大阪市)は6月、50人の求人を出した。主力商品の一つで、工事で用いるネットの需要が高まっているという。
サービス・小売業では、能登を中心に県内13店舗を展開し、7月中旬に穴水店の営業を再開したスーパー「どんたく」(七尾市)が数人のパート募集を始め、輪島市で100円均一ショップを営む「ヤスサキ」(福井市)も求人を始めた。
中能登(七尾、羽咋両市と志賀、中能登、宝達志水各町)を受け持つハローワーク七尾では、6月は前年同月比0・36ポイント減の1・03倍だった。5月は2013年7月以来、1・00倍を下回る0・96倍で、わずかに上回った。
同局職業安定課によると、求人が増えた理由として、企業が事業を再開し始めていることに加え、被災地から避難していた住民が仮設住宅へ入居するなど、労働力が回復していることが挙げられるという。
一方、七尾市の和倉温泉をはじめ、宿泊業の求人は依然、低調だ。ただ、飲食業の求人は少しずつ増えているといい、同課の今町聡課長は「業種によっては明るい兆しが見えつつある。合同企業説明会を積極的に開くなどして、労働環境の面からも復旧、復興を後押ししていきたい」と話す。
ハローワーク輪島は今月27日、小売業や輸送業など5社が参加する合同企業説明会を開く。問い合わせはハローワーク輪島(0768・22・0325)。(安田琢典)
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