墓掃除を代行するアシストーンのスタッフ=アシストーン提供

 先祖の霊を迎えるお盆も終わりを迎えた。帰省先などで墓参りするのがお盆の恒例という家庭も多いだろうが、猛暑日が続いた今年は、墓掃除を「お掃除のプロ」に依頼するケースも少なくなかったようだ。

 多くの人のお盆休みの最終日となった18日、この日も気温が30度を超えた千葉県内の霊園には、墓参りや墓の掃除をする人の姿があった。

 墓掃除をしていた女性(74)は、真夏日や猛暑日が続いたことに加え、台風7号が接近した影響もあり、墓参りの日をずらしたという。

 「例年は盆前に墓掃除をしにくるが、今年は暑くて供花がすぐだめになってしまう。それでは先祖に申し訳ないと思って日にちをずらしました」と、汗を拭いながら話した。

 今年はお盆前から全国的に猛暑が続いた。多くの墓地や霊園では日差しを遮る物もなく、炎天下での墓参りを余儀なくされる。短時間であっても掃除するとなれば過酷な作業だ。

 そこで増えているのが、墓掃除を代行業者に依頼するケースだ。

先祖の墓に水をかける参拝者=千葉県内で2024年8月18日午前11時46分、宮城裕也撮影

 2010年から墓石のクリーニング事業を全国展開している「アシストーン」(名古屋市)によると、猛暑の影響で数年前から依頼が増加しているといい、今年はお盆前の6月から8月のお盆期間終了までの掃除の依頼件数は88件と前年同期比35件増の約1・7倍となった。

 猛暑の中で墓掃除が困難となる高齢者からの依頼が多いという。

 同社の墓掃除は、汚れが付きにくい特殊な洗剤を使うことで10年ほどきれいに維持でき、費用は墓の大きさに応じて5万~15万円程度という。

 同社の広報担当は「一見高いように見えますが、遠方からの墓参りは、墓にいくまでの時間や費用、掃除する労力もかかります。掃除だけでなく、きれいな状態を持続できます」と強調する。

 猛暑の影響で利用者が増えている一方で、近年増加している、いわゆる「墓じまい」を考える人にもサービスは利用されているという。

 「お墓を今後どうするかを考える間、無理なく維持できるような選択肢として、墓石掃除の代行は広がっていくと感じています」【宮城裕也】

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