船に蓄電池を積み、遠方の再生可能エネルギーを需要地に運ぶ(イメージ)

蓄電池事業を手掛けるスタートアップのパワーエックス(東京・港)は23日、電気運搬船事業を分社化したと発表した。2026年に初号船を完成させ、試験航行することを目指す。商用化すれば再生可能エネルギーの有効活用が進む可能性がある。

新会社名は「海上パワーグリッド」。パワーエックスの伊藤正裕社長が代表を兼務する。電気運搬船は洋上風力などで発電した電気を蓄電池にため、需要のある地域に運ぶ役割などを担う。同社は「海底送電ケーブルや送電網を代替できる」としている。

船は今治造船などと共同で開発する。パワーエックスは当初25年の初号船の完成を見込んでいたが、「国際団体の認証取得などに時間とコストがかかる」として26年内に目標を変えた。伊藤社長は23日のオンライン記者会見で「新会社が海運や電力、商社などから資金調達することも検討する」と話した。

自らは推進機関を持たずけん引して使う新モデルの構想も打ち出した

電気運搬船の新モデルの構想も発表した。自らは推進機関を持たない「バージ船」で、瀬戸内地域など比較的波が穏やかな海域での短〜中距離利用を想定する。従来モデルと比べ航行可能なエリアは限られるが、建造コストを抑えられる。

パワーエックスは21年の設立。蓄電池や電気自動車(EV)の急速充電器の製造・販売を手掛け、岡山県玉野市に製造工場を持つ。三菱商事、三井物産など大手商社のほか三菱UFJ銀行などが出資しており、累計調達額は約232億6000万円。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。