東京商工リサーチが8月上旬に実施した賃上げに関するアンケート調査で、有効回答6899社中、84.2%にあたる5810社が今年度「賃上げを実施した」と回答した。
23年度の84.8%には0.6ポイント届かなかったが、2年連続でコロナ禍前の水準を超えた。物価高や企業業績の回復に加え、政府が「物価高を上回る賃上げ」を重要課題に据え、機会あるごとに経済界に賃上げを要請してきたことも一定の効果があったとみられる。
企業規模別の「実施率」は、資本金1億円以上の企業(以下、大企業)は前年度比4.1ポイント上昇の94.0%(794社中、747社)だったが、資本金1億円以下の企業(以下、中小企業)は82.9%(6105社中、5063社)で、前年度を1.3ポイント下回った。企業規模による賃上げ実施率の格差は前年度より大きくなった。
賃上げ率(1%刻み)は、「5%以上6%未満」26.8%が最多で、「3%以上4%未満」25.6%、「2%以上3%未満」(452社)が続いた。賃上げ率「5%以上」は42.6%で、前年度の36.3%を6.3ポイントと大幅に上回った。規模別では、賃上げ率「5%以上」は大企業で44.4%、中小企業は42.4%で、ほぼ同水準。
賃上げを「実施した」企業の、具体的な項目で最も多かったのは「定期昇給」74.2%で、「ベースアップ」61.4%、「賞与の増額」38.5%が続いた。
「ベースアップ」「新卒者の初任給増額」は長期にわたる人件費の上昇につながるため、体力に乏しい中小企業にとっては実施のハードルが高く、大企業とは差が開いている。
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