自動車整備工場の約7割で人手が足りない――。車検や定期点検を担う自動車整備業界が深刻な人手不足に陥っている。民間調査によると、一部の工場では外国人労働者の採用が急速に進んでいる。
調査は5~7月、経営コンサルタント会社のフォーバル(東京都渋谷区)と日本自動車整備商工組合連合会(整商連)が共同で実施し、全国の自動車整備574社の経営者が回答した。
人手が「不足している」と回答したのは34・3%、「やや不足」は37・5%に上った。2020年に実施した調査では、人手不足の割合は50%程度だった。
背景にあるのは、整備工場に求められる業務の拡大や高度化だ。先進的な運転支援や安全技術に必要なセンサーなど電子制御装置の整備に加え、21年10月には車載式故障診断装置(OBD)の点検が義務化。今年10月からはOBDの検査が車検項目に追加される。
新型コロナウイルス禍後に交通量が回復して整備需要も増加しており、フォーバルは「慢性的な人手不足に採用が追いついていない」と分析している。
その穴を埋めるよりどころになっているのが、外国人労働者だ。外国人を「採用している」割合は17・4%で、20年調査の7・7%から2倍以上に増加した。
一方で「(外国人の)採用予定はない」とした経営者は50・5%から68・1%に増えており、外国人の雇用に積極的な工場と消極的な工場の二極化が進んでいるようだ。
原材料やエネルギー価格の高騰の影響については、31・9%が「かなり受けている」と回答し、「やや受けている」と答えた経営者は54・5%に上った。
こうした資源高に加え、人件費の上昇も経営の重荷になっている。対応策の一環として、日本自動車車体整備協同組合連合会(日車協連)は、損害保険大手4社との団体交渉を実施しており、1時間当たりの修理工賃について、17・5%以上の引き上げを求めている。【中島昭浩】
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