TNCアジアトレンドラボは26日、アジアのZ世代が推す日本のカルチャーについての調査をまとめた。アジア5カ国・地域の総合評価では世界的なヒットを飛ばす「YOASOBI」や人気キャラクターの「ちいかわ」が選ばれた。バレーボール漫画「ハイキュー!!」や、パリ五輪に出場した男子バレーボール日本代表にも注目が集まった。
7〜8月にかけ、中国、韓国、台湾、タイ、インドネシアの主要都市に住むZ世代に聞き取り調査などをして日本コンテンツの中での推しを独自に選んだ。音楽・アニメ・ゲーム・著名人・食べ物の5項目についてそれぞれの国で人気が高かったものを選んだ。
音楽部門の総合で選ばれたのは、男女2人組の音楽ユニット「YOASOBI」だった。デビュー曲「夜に駆ける」やアニメ「【推しの子】」の主題歌「アイドル」が世界的にヒット。1月にインドネシアの首都ジャカルタで開催されたコンサートは「チケットが瞬時に売り切れるほど」(TNCアジアトレンドラボ)で、タイや台湾でも人気が定着している。
中国や韓国では1980〜1990年代の日本の楽曲も人気だ。韓国では人気アイドルグループ「New Jeans」のメンバーがカバーした松田聖子の「青い珊瑚礁」や竹内まりやの「PLASTIC LOVE」が話題を呼んだ。シティーポップブームが続く中国では、宇多田ヒカルなどに代表される90年代の音楽も人気という。TNCアジアトレンドラボの大川貴司氏は「アジアのZ世代で共通するレトロブームが感じられる」と指摘する。
アニメ部門では東アジアと東南アジアで支持が分かれた。韓国と台湾で圧倒的な人気を集めたのは「ちいかわ」。日本ならではの「Kawaii(カワイイ)」見た目と、対照的に闇を感じる弱肉強食の世界観がZ世代の共感を集めている。一方、東南アジアでは「ハイキュー!!」が人気だった。バレーボールを通じて友情を描いたストーリーがタイやインドネシアの若者の心に刺さった。
著名人部門でも総合では「男子バレーボール日本代表」が選ばれた。「リアルハイキュー!!」と注目を集め、インドネシアでは特に高橋藍選手がアイドル並みの人気という。「タイではもともとバレーボールが人気のスポーツだが、インドネシアではマイナーなスポーツ。海外で人気の日本のスポーツアニメは多くあるが、外国のチームである日本代表を熱狂的に応援するというのはこれまでになかった現象」(大川氏)。中国では「チェンソーマン」の作者である漫画家の藤本タツキ、台湾では米大リーグで活躍する大谷翔平選手が人気となった。
ゲーム部門の総合では、サイバーエージェントのリズムゲーム「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」が選ばれた。初音ミク人気を背景に、中国などで人気が高い。食べ物は支持が分かれたが、共通して人気だった「スイーツ系」を選んだ。中国では純喫茶のパフェ、タイでは日本のアイスが人気を集めた。
大川氏は「日本同様にアジアでも韓国コンテンツの影響力が増しているが、感度の高い若者からの日本コンテンツへの関心は依然高い」と解説。アジアでのビジネスを検討する企業に対し「トレンドの移り変わりが激しい韓国コンテンツとは違い、日本のコンテンツは長く深く愛される傾向を感じる。いまのトレンドやその裏にある生活者の背景をつかみ、アジアビジネスの参考にしてほしい」と語った。
(岸本まりみ)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。