北京モーターショーで披露された中国・新興メーカーの電気自動車=2024年4月25日、小倉祥徳撮影

 カナダ政府は26日、中国から輸入される電気自動車(EV)に100%の追加関税を課すと発表した。中国政府の支援を後ろ盾にした過剰生産で、EV市場の公平な競争環境をゆがめていると問題視した。米国と欧州も中国製EVに対する関税の引き上げを決めており、対中強硬策で足並みをそろえる。

 中国製EVへの現在の関税(6・1%)に上乗せする。10月1日から適用する。カナダ政府は発表文で「中国の国家主導の過剰生産は、世界中のEV産業を脅かしカナダの経済的利益を損なう。脅威に対応するため例外的な措置が必要だ」と説明した。

 発効から1年で、延長や一段の追加関税が必要かどうかを決める。中国から輸入される鉄鋼・アルミニウムに対しても10月15日以降、25%の追加関税を課す。

 バイデン米政権は5月、中国製EVへの関税を従来の4倍となる100%に引き上げると決定。欧州連合(EU)も7月に最大37・6%の追加関税の適用を始めた。

 カナダのトルドー首相は記者会見で「重要なのは、世界中の他の経済圏と協力して実施していくことだ」と述べ、中国の過剰生産問題に対し、欧米と足並みをそろえる考えを強調した。

 米メディアによると、カナダで流通している中国産EVは米EV大手テスラが上海工場で生産して輸入しているものが大半。ただ、中国最大手の比亜迪(BYD)はメキシコに工場を新設して、カナダなどの北米市場への進出を検討中だという。

 BYDなど中国メーカーは、欧米勢より大幅に廉価なEVを発売して市場を拡大している。こうした動きに対し、欧米の政府は過剰生産による不当な価格引き下げだと問題視している。【ワシントン大久保渉】

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