高島屋では昭和レトロな世界観を楽しめるおせちを販売する(27日、東京都中央区)

主要百貨店が発売する2025年正月向けのおせち商品が27日、出そろった。「昭和レトロ」をテーマにした商品やインフルエンサーとのコラボ品などで、若者などこれまでおせちとの接点が少なかった層を取り込む。一部で販売早期化の動きも見られる中、各社は趣向を凝らした商品で前年以上の売り上げを目指す。

高島屋は花や果物などのイラストをあしらった昭和レトロを感じさせるデザインが特徴のブランド、「アデリアレトロ」と組んだ三段重のおせち(1万8360円)を販売する。栗きんとんや黒豆といった定番料理のほかに、野菜のキッシュやマロンケーキなど洋風の料理も詰めた。昭和レトロを演出した商品やサービスは若者の人気をじわりと集めており、高島屋はこれまで百貨店やおせちと接点が少なかった層を開拓できると読む。

大丸松坂屋百貨店ではインフルエンサーとコラボしたおせちを初めて販売する(26日、東京都江東区)

大丸松坂屋百貨店は同社として初めてインフルエンサーと連携したおせち(2万1600円)を売り出す。手軽につくることができる料理レシピを発信し、SNSで人気を集める料理家夫婦「ぐっち夫婦」が監修しており、従来のおせちの顧客層より若い30〜40代の顧客を取り込む。

1月に発生した能登半島地震の被災地支援で北陸の食材を使ったおせちを充実させる動きもある。松屋は北陸などの食材を使った「北陸のおせち」の展開数を、前年と比べて約4割増の20品に増やした。高島屋では北陸地方でつくられた40種類の食材を詰め合わせた三段重(2万2680円)などを売り出す。売り上げの一部は被災地に寄付する。

物価高の中、おせちの平均価格は数%程度の上昇がみられるという。松屋は食材の切り替えなどで質は維持しつつ、全体の約半数の商品の価格を据え置いた。大丸松坂屋でも食材の共通化や献立の見直しなどでコスト抑制を進めた。

そごう・西武は、西武池袋本店(東京・豊島)が家電量販店「ヨドバシカメラ」の出店に伴う全館改装の工事中で手狭になっていることを受け、おせちの電子商取引(EC)注文や自宅受け取りを促す。54品を対象に10月末までに早期注文をすると、送料が無料になるキャンペーンを実施する。店頭注文は、地下にあった食品売り場「デパ地下」のブランドを7階に仮移転した「デパナナ」の一区画で受け付ける。

おせち商戦はスーパーでも活況だ。イオンは生成型の人工知能(AI)を活用したおせちを販売するなど各社でユニークな商品が相次ぐ。ふるさと納税の返礼品でおせちを選ぶ人が増えているとの見方もあり、各社での競争は激しさを増している。

早期から需要を取り込もうと、予約受け付けの開始時期は一部で前倒しが進む。高島屋は前年は9月開始だったが今年は8月28日に早める。大丸松坂屋も前年より2日早め9月20日から受け付ける。

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