【ニューヨーク=吉田圭織】米製薬大手のイーライ・リリーは27日、肥満症治療薬「ゼプバウンド」の廉価版を発売したと発表した。従来品のおよそ半額となる製品をラインアップに加えて需要を取り込む狙いだ。
「ゼプバウンド」2.5ミリグラムを399ドル(4週間分、約6万円)、5ミリグラムを549ドル(同、約8万円)で提供する。従来品は1000ドル以上かかる。競合のデンマークのノボノルディスクが展開する肥満症薬「ウゴービ」は1300ドルほどだ。
廉価版は従来のペン型の注射器と異なり、患者が瓶に入った液体を注射器に入れる手間がかかる。イーライ・リリーにとってはペン型の注射器に比べて製造しやすく、低コストで供給を拡大できる。
肥満症薬をめぐっては、価格が高いことや不足を理由に類似品の利用が広がっている。イーライ・リリーとノボは販売差し止めを求めて、類似品を提供する調剤薬局などを提訴している。
取材に応じた類似品の利用者によれば月300ドルで購入している。リリーの廉価版と同様に自分で注射器に治療薬を入れる必要があるという。
リリーは廉価版を提供することで、類似品の利用拡大に対抗する狙いもあるとみられる。
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