厚生労働省の予算は要求段階で過去最大となる

厚生労働省は28日、2025年度予算の概算要求を公表した。一般会計の要求額は34兆2763億円と24年度当初予算より1.4%(4574億円)増え、要求段階では過去最大となる。医療・介護分野のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進や、創薬力強化に向けた施策などを盛り込む。

医療・介護DX関連は24年度当初予算比78%増の358億円を求める。医療や介護に関する情報を全国で共有するためのシステム構築や、電子処方箋の普及促進などに取り組む。

創薬力強化に向けて、臨床試験体制の整備やスタートアップ支援などを盛り込む。供給不安が続く後発薬(ジェネリック医薬品)の産業構造改革は概算要求段階では金額を示さない「事項要求」とする。

将来の感染症危機への備えに3.8倍の330億円を求める。25年4月に発足する専門家組織、国立健康危機管理研究機構(JIHS)の運営費や、危機管理人材の育成などに充てる。

5年に1度の制度改正を25年に控える年金分野では、制度の見直しに伴う税制上の措置を要望する。政府は税優遇のある個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の拠出限度額を引き上げる方針で、具体的な改正内容は年末に決める。

雇用・労働関連では、仕事と育児・介護の両立支援や多様な働き方の実現に4.7倍の1415億円を盛り込む。両親ともに育児休業した場合や、育児期に時短勤務した場合に支給する給付制度創設などを計画する。

年金や医療、介護などの社会保障費は1.1%(3677億円)増の32兆4375億円を見込む。概算要求基準では高齢化に伴う社会保障費の自然増を他の府省と合わせて4100億円と定めている。

政府は少子化対策に毎年3.6兆円充てる方針で、財源確保のため28年度までに医療・介護分野で計1.1兆円の公費削減に取り組む。年末の予算編成過程では歳出改革も課題となる。

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