日本紙パルプ商事は28日、紙を透明に加工できる包装紙が日本包装技術協会主催の「2024日本パッケージングコンテスト」で最高位にあたる「ジャパンスター賞」を受賞したと発表した。封筒などにプラスチックを使うことなく中身が見える透明な窓を作れる。遊び心のある自由なデザインが可能で、ダイレクトメールのほか、衣料品のパッケージなどの用途を見込む。
受賞したのは「紙エール デザインウインドウ」。紙に紫外線を当てると固まる「UV硬化樹脂」を塗布し透明にした。封筒の中に入れた紙に印刷されたバーコードやQRコードを外側から撮影しても読み取りができるほど透明度が高い。
従来、紙の包装で中が見える透明な窓を作るにはプラ製のフィルムや透明なグラシン紙を貼っていた。そのため窓の形状は四角形などに限られていた。紙エールは文字や絵柄の形で透明化することができ、従来にないユニークなデザインを実現することが可能だ。透明にした部分に印刷もできる。
プラ製のフィルムを使わないため環境負荷も少ない。異素材の貼り合わせが不要で加工効率が高い利点もある。
王子マテリア(東京・中央)が開発した透明化しやすい包装用紙を使い、封筒最大手のイムラが印刷・加工・製造を手掛けた。日本紙パルプ商事は紙の専門商社としてアパレル企業の衣服のパッケージなど封筒以外の用途も開拓したい考えだ。1年後には数十件での採用を目指す。
紙包装はプラ包装に比べてコストが高いが、リサイクルなどの環境意識が高まり企業の導入機運は高まっている。日本紙パルプ商事のEC(電子商取引)サイト「Paper&Green(ペーパーアンドグリーン)」では「紙」と「透明」を同時検索するユーザーが多い。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。