日本郵便近畿支社が4~5月に行った郵便局のキャンペーン「お客さま感謝デー」で、府県の消費生活条例に反する恐れのあるチラシを顧客あてに送っていたことがわかった。日本郵便は今後、チラシの内容などを見直すとしている。

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 朝日新聞が入手した内部文書などによると、支社は約3千の郵便局に対し、金融商品を売り込みたい顧客を抽出し、来局してアンケートに答えれば「素敵なプレゼント」を渡すとのチラシを送るよう指示していた。指示文書では、景品をただ渡すのではなく、かんぽ生命やゆうちょ銀行の金融商品を提案し、高齢客には若い家族を連れて再び来局させるアポ(約束)を取りつけるよう求めていた。

 近畿地方の府県が定める消費生活条例は、商品販売の目的を隠して客に近づくなどして勧誘する行為を禁じているが、郵便局のチラシに勧誘などの目的は書いていなかった。

 朝日新聞の取材では、日本郵政グループの社外通報窓口が4月に情報提供を受けて調査し、その時点では問題はないと判断していた。

 消費者問題に詳しい村千鶴子・東京経済大名誉教授(弁護士)は「お金がある高齢者を狙って景品でおびき出すやり方は、たちが悪いと思える。チラシだけでは『金融商品を提案される』とは予想できず、消費生活条例に違反する可能性がある」と指摘する。

 日本郵便は取材に対し、「法令違反とはただちに言えないが、運用・対応によっては違反リスクがある」と回答した。今後の同様の取り組みでは、金融商品の提案や勧誘をする可能性があるとチラシに明記するよう改める。(藤田知也)

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