「ポケモンワールドチャンピオンシップス」の様子。大会の一種目であるポケモンカードゲームで戦う出場者=横浜市西区で2023年8月11日午前10時56分、園部仁史撮影

 少子化にもかかわらず、国内のおもちゃ市場が好調だ。市場規模は2023年度に初めて1兆円を突破した。ブームを引っ張る購買層は「キダルト」と呼ばれる人たちだ。メーカー各社も熱視線を送るキダルトとは?

キッズ×アダルト=キダルト

 日本玩具協会によると、23年度の国内市場は前年度比7・1%増の1兆193億円(希望小売価格ベース)で4年連続で伸びた。00年以降、縮小や横ばいに陥った時期もあったが、訪日外国人客による需要の高まりも追い風に、近年は右肩上がりで拡大している。

 おもちゃ業界を支えるのがキダルトだ。キッズとアダルトを掛け合わせた造語で、子ども心を持った大人をターゲットにした商品が増えている。

 おもちゃ業界の専門誌「月刊トイジャーナル」の藤井大祐編集長は「これまでは『ハイターゲット層』と呼ばれていたが、ここ数年は『キダルト』として世界的に市場が大きくなりつつある。新型コロナウイルス禍で自宅で過ごす時間が増え、おもちゃの魅力が再認識されたことも大きい」と分析する。

どんなおもちゃが人気?

 市場の4分の1以上を占めるなど特に存在感があるのが「カードゲーム・トレーディングカード」だ。23年度の売上高は前年度から425億円増の2774億円。対戦して遊ぶだけでなく、希少性のあるカードはコレクションや資産としての価値もあることから、キダルトの人気も高い。

 プラモデルやフィギュアといった「ホビー」は1748億円(前年度比4・7%増)、「ぬいぐるみ」も390億円(同20・7%増)と好調だった。アフターコロナで人が集まる機会が増え、パーティー関連や手品グッズの販売も伸びている。

 藤井さんは「子育て世代が昔親しんだ商品を子どもと一緒に遊んだり、若い女性層がお気に入りの人形を着せ替えして、写真をSNS(ネット交流サービス)にアップしたりするなど、ニーズや楽しみ方も多様化している」と話した。【成澤隼人】

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