浜松医科大学は24日、同大の産学官連携部門を切り離し1日付で設立した新会社「はままつ共創リエゾン奏(かなで)」(浜松市)の説明会を開いた。同大によると国立大学法人としては初めて、全ての知財を機動力の高い外部法人である新会社へと移管するのが特徴。国内外の企業や大学、医療機関などとの共同研究や開発を加速する。
新会社の資本金は約1500万円で、ほとんどを浜松医科大が出資する。同大で産学連携を担当していた山本清二氏が社長に就いたほか、ヤマハ発動機出身者なども経営に加わる。初年度に研究経費1000万円以上の大型の共同研究3件の契約成立を目指す。
同大はこれまでも産学官連携で医療機器を開発し、2011〜22年度の製品化実績は20件に上る。一方で、大学の内部にあっては「意思決定に時間を要し、組織全体の人事・給与体系が適用されて産学官連携に特化した処遇や雇用が難しかった」(新会社の山本社長)。外部法人化でこうした課題を解決する。
新会社の強みは、医療現場のニーズに基づいた開発が可能な点や、光医学などの研究シーズを多数保有している点など。山本社長は「研究成果が出てから社会への還元を進める技術移転機関(TLO)と異なり、ニーズを探す段階から企業と連携でき、一気通貫な点も特徴だ」と話す。
同大の今野弘之学長は「これまで知財の一部を外部法人化する試みはあったが、知財部門全てを移管するのは、国立大学法人としては初めてのこと。研究シーズの社会実装の加速や地域活性化につなげたい」と述べた。
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