日立製作所は4日、自社の技術展示会「日立ソーシャル・イノベーション・フォーラム」を東京都内で開いた。小島啓二社長は基調講演で「データとテクノロジーによって様々な現場でイノベーションを起こし、社会課題を解決していく」と話し、世界的な人手不足に解決策を提供する考えを示した。
小島氏は日本で2050年までに労働人口が2000万人減ることを挙げ、「世界に誇れる日本の現場の力が人手不足で危機に直面している」と指摘した。工場の組み立て作業員やトラックドライバー、医療スタッフなどについて「頭脳と肉体の両方を駆使する仕事はデジタルに置き換えることは難しいが、テクノロジーで拡張することは可能だ」と述べた。
具体例として鉄道車両の保守点検における熟練技術者の知見共有やセンサーを用いた異常検知、ロボット技術の活用などのIT(情報技術)サービスが現場力向上に生きると説明した。東武鉄道と取り組む、デジタル空間に鉄道車両を再現して熟練作業員のノウハウを継承するシステムも紹介した。
小島氏は「(現場で働く)フロントラインワーカーが輝く現場をデータとテクノロジーで実現するのが、日立が目指すイノベーションだ」と語った。半導体大手のエヌビディアやマイクロソフト、グーグルなど米テック大手との提携によって先端技術を自社サービスに取り込む考えも示した。
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