リニアに笑顔で試乗するエマニュエル駐日米大使㊧とJR東海の金子慎会長(5日)

米国のエマニュエル駐日大使が5日、JR東海の山梨リニア実験センター(山梨県都留市)を訪れ、試験車両に試乗した。リニアの米国輸出を目指す同社が招待した。試乗後、同大使は「未来を体験した。リニアは(鉄道の中で)別格だ」と述べ、米東海岸の都市間輸送の将来は航空機と高速鉄道の競争に移るとの見方を示した。

5両編成のリニア車両に乗って実験線42.8キロ区間を往復した。エマニュエル大使は「時速500キロの車内で立っていられるのは素晴らしい」と称賛。米国のこれからの輸送システムは「効率に加え、気候変動対策も重要になる」と語り、航空機より二酸化炭素の排出量が少ないリニアの優位性を指摘した。

JR東海はリニア技術で米ワシントンDC―ニューヨーク間(約360キロ)を約1時間で結ぶ「北東回廊プロジェクト」構想を進めている。エマニュエル大使は「航空機より鉄道を利用した移動の方がストレスフリーだ」とも語り、米国の輸送システムを日本の最新技術を使って現代化するのは「日米協力の一例になる」と強調した。

リニア車両をバックに記念撮影するエマニュエル駐日米大使㊨とJR東海の金子会長(5日、山梨県都留市)

エマニュエル大使は鉄道好きで知られる。リニア試乗について「2年半この日を待っていた。日本の新幹線に乗るのは、今回がちょうど50回目になる」と笑顔をみせた。JR東海は米政府関係者を積極的にリニア試乗に招待している。駐日米大使の試乗は2018年1月のハガティ大使(当時)以来。

JR東海の加賀山慶一執行役員は米東海岸の北東回廊構想について「日米共同プロジェクトだが、プロセスとしては時間がかかる。米国の方々にリニアを理解してもらう活動を進めていく」と話した。

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