イトーヨーカ堂は店内の室温などをAIシステムで管理する(6日、川崎市)

イトーヨーカ堂は6日、人工知能(AI)を使って省電力につなげる空調設備を全国約70店舗に導入すると発表した。今年1月から神戸大学と連携して実証実験を進めた結果、消費電力を約4割削減できたという。最適な空調管理を通じ、店舗の二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す。

ヨーカ堂が導入する「AI スマート空調システム」は神戸大が開発した。店舗内に設置されたカメラや温度計などのセンサーによって収集された人流、温度などのデータをAIが解析、学習し最適な温度を管理する。

日や季節に応じた来店客数や室温などを収集・分析し、顧客が集中するフロアを効率的に冷やしたり暖めたりする。来店客が少ない時間帯は空調の稼働を抑えることで省電力化につながるという。

イトーヨーカドー八王子店(東京都八王子市)での実証実験で効果を確認した。ヨーカ堂は2026年2月までに、現在の店舗の6割超に当たる約70店舗に同システムを導入する。

親会社のセブン&アイ・ホールディングスは店舗運営に伴うCO2排出量を30年度に13年度比で半減させる目標を掲げている。今回のヨーカ堂の取り組みは24年度以降に必要な削減量の約4%(2万2000トン)に相当する。

6日に川崎市の店舗で開いた説明会で、ヨーカ堂の山本哲也社長は「セブン&アイグループ以外で知見を持った企業や行政、大学などと今後も連携を進めていく」と述べた。

ヨーカ堂は消費場所から離れた特定の発電設備から、長期間電力の供給を受けるオフサイトPPA(電力購入契約)も広げている。NTT子会社のNTTアノードエナジー(東京・港)の太陽光発電所から電力を購入しており、足元で約20店が電力供給を受けている。

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