カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)は9日(日本時間)、買収提案を出したセブン&アイ・ホールディングス(HD)の回答に対する声明を発表した。企業価値について「『著しく』過小評価している」と指摘したセブンに対し、「友好的な協議すら拒否したことを遺憾に感じている」と述べた。
ACTは友好的な協議のため秘密保持契約(NDA)を結ぶ用意があるほか、規制当局の承認を得るためACT側が事業の切り離しを検討することも明らかにした。
声明でACTは、「世界で運営する『セブンイレブン』に敬意を抱いている」と述べ、「友好的な協議ができれば、セブン&アイの株主にさらなる価値向上をもたらすことができると確信している」とした。ただ、同社はACT、セブン&アイ双方のアドバイザー同士の協議を求めてきたがセブン側に拒絶され、「NDAの締結も受け入れられなかった」と説明している。
声明では「引き続き友好的な協議を進めるため、適切な秘密保持契約を結ぶ用意がある」と強調した。セブン&アイが回答書簡で懸念を示した米国競争法上の問題については、「規制に関する対応策をより具体的に検討することも可能だ」と指摘。規制当局の承認を得るために必要となる場合は「セブン&アイとともに事業の切り離しも検討する」としている。
セブン&アイは6日にACTの初期の買収提案への回答書簡を公表した。同書簡において、ACTからの提案は買収額を1株14.86ドルとし、現金で全株式を取得する内容だったと明らかにした。
提案があったとみられている7月中下旬当時の為替レートで1株2200〜2400円程度となり、買収総額は6兆円規模となる。市場ではACTの資金調達に対する懸念が出ているが、ACTは「今回の買収を現金で実施するだけの十分な余力がある。資金調達は統合の制約にならない」とも述べた。
米ブルームバーグ通信は米国時間の8日、ACTがセブン&アイ買収を再提案する方針と報じた上で、6兆円規模だった当初の買収額を引き上げる用意があると伝えた。TOB(株式公開買い付け)の可能性も排除していないという。
セブン&アイは「株主およびその他のステークホルダーにとって最善の利益をもたらすいかなる提案にも真摯に検討をする用意がある」と6日の回答書簡で述べていた。セブン&アイ側も「長期戦になる」(幹部)との見方を示す中、セブンが出した回答に対するACT声明を受けて両社間の交渉が活発になってきた。
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