セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9日、買収提案を出したカナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)へのコメントを発表した。ACTは初期の買収提案に対してセブン側が回答した書簡に「遺憾だ」とする声明を同日に公表した。セブンはこれに「ACTの(買収)提案は実効性を伴う議論をするだけの根拠や材料を提示していない」とさらに反論した。

セブンは9日のコメントで「当社の取締役会が協議して述べたように、ACTの提案は実効性が伴う議論をするだけの根拠や材料を提示していないと考えている」と指摘した。

その上でACTの提案は「当社の潜在的な株主価値の短中期的な実現について著しく過小評価している」と述べた。また過小評価されていることが「双方のアドバイザー間で秘密保持契約(NDA)を結んでいない理由だ」としている。ACTは双方のアドバイザー間での協議と、同協議を進めるにあたってNDAを結ぶことをセブンに求めている。

もっともセブンは、「ACTがセブン&アイの本源的価値を十分に認識し、特別委員会が持つ規制上の懸念を払拭する提案を提示した場合には引き続き真摯な協議に応じる用意がある」と明らかにした。セブンはACTから実効性の伴う提案が示されない限り、自社で企業価値向上に向けた取り組みを進めていく考えだ。

セブンへの買収提案を巡っては、同社が6日、買収提案したACTに対して回答する書簡を公表した。セブンは同社の企業価値について「『著しく』過小評価している」と指摘したほか、米国競争法上の問題を念頭に「複数の重要な課題について、適切に考慮されていない」と述べていた。

一方、ACT側は9日、セブンの回答書簡に関し「友好的な協議すら拒否したことを遺憾に感じている」との声明を発表した。ACTは友好的な協議のためNDAを結ぶ用意があるほか、規制当局の承認を得るためACT側が事業の切り離しを検討することも明らかにした。

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