柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長=東京都港区で2023年6月9日、武市公孝撮影
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 このままでは日本人は滅びる――。「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の発言がインターネット上で論争を呼んでいる。衣料通販「ZOZO」の創業者、前沢友作氏が「僕は逆のように感じる」と反論するなど、大物経済人の間でも意見が分かれている。

 柳井氏の発言は8月下旬の日本テレビのインタビューで飛び出した。柳井氏は「少数精鋭で仕事するということを覚えないと日本人は滅びるんじゃないですか」と問題提起。「労働生産性が高くなるようなことをやっていかないと、今からの日本はやっていけない。どんどん人口が減っていったら、公共や民間でサービスを受けられなくなる可能性がある」などと現状の日本の生産性の低さに危機感を示した。労働力が減る中で生産性を上げていくには、諸外国のように管理職や研究開発を担えるような移民の受け入れが必要との持論を展開した。

ZOZO創業者の前沢友作氏=東京都千代田区で2024年4月10日、北山夏帆撮影
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 柳井氏の発言に対し、前沢氏はX(ツイッター)で「僕は逆のように感じます」と反論。「日本人らしさが今後の国力の鍵になる気がしていて、それを薄めてしまうような、グローバリズムに迎合して自らその渦にのみ込まれてしまうような考え方には違和感がある。日本人らしさを生かして連帯し、もっと濃い国になっていくべきだ」と訴えた。

楽天グループの三木谷浩史会長兼社長=首相官邸で2024年5月30日午後6時20分、平田明浩撮影
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 一方、楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は週刊誌のインタビューで「柳井さんの発言の真意は存じ上げない。ただ日本に元気がない、というのは事実でしょう」と述べた。日本の働き方については「日本以外の国のベンチャーやIT企業などの従業員は、猛烈に働いている。日本だけ『早く帰れ』では勝負にならない。健康管理の枠組みの整備を前提に、伸び盛りの企業には新たな労働制度の創設を検討する必要がある」と指摘。働き方改革で時間外労働の上限を原則月45時間とするなど現行の労働規制の見直しを求めた。

 一連の発言について、ネット交流サービス(SNS)上では「滅びはしないが衰退はする」「商品を安価で提供し続け、日本を安くしてきたのは柳井氏ではないのか」などと多数のユーザーから賛否のコメントが飛び交った。人口減少や高齢化など、日本経済の行く末に対する危機感は多くの人に共有されつつあると言えそうだ。【杉山雄飛】

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