JR東海は9日、リニア中央新幹線の愛知県春日井市内の工区で進めるトンネル掘削工事について、2024年9月末までとしている工期を30年1月末までに延長すると発表した。当初の想定以上にもろい地質が判明し、より慎重な施工方法が必要になった。同社は現時点で地元の井戸の地下水位に変化が生じていないと説明する。
工期を見直すのは第一中京圏トンネルの西尾(さいお)工区で、全長およそ4.5キロメートル。すでに7割を掘り進めているという。JR東海によると22〜23年度に実施した調査で、名古屋方面の区間がもろい地質と判明。工法を変えて慎重な掘削が必要と判断した。
新たな施工方法では、トンネルの円周より小さい「導坑」を重機で慎重に掘り進めたのちに、少しずつ外周を切り広げる。導坑を掘る前にもトンネル内から前方にボーリング(掘削)調査をすることで詳細に地質を把握する。
従来、同工区では爆破などで土砂を掘り出した後、表面をコンクリートとボルトで固定する「ナトム」と呼ばれる工法を採用していた。
また、JR東海はリニアが走る軌道と保守基地への分岐装置を置く区間についても、同工区で施工遅れが生じると公表した。この区間はトンネルの最大断面積が300平方メートル以上になり、高度な施工技術が必要と言われてきた。
【関連記事】
- ・静岡県のリニア部会、盛り土候補地に断層推定 JR側資料
- ・名古屋駅に「3Dリニア」 巨大電子看板を9月に設置
- ・本村賢太郎・相模原市長「リニア駅で降りたくなる街に」
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。