三井物産は11日、5月に発表していた最大2000億円の自社株買いの上限を倍の4000億円に引き上げると発表した。この規模の自社株買いを一度に実施するのは初めて。足元の株価が5月下旬に付けた過去最高値(4182円50銭)から3割低い水準にあるなか、「株価が割安だと考え機動的な自社株買いを決めた」(同社)という。
同社は5月に最大2000億円の自社株買い実施を発表していた。8月末までに1724億円を取得していた。今回の取得枠拡大に伴い、取得期限は従来の9月20日から2025年2月末までに延長する。取得した自己株は全て消却する予定で、既存株主にとっては1株価値の向上につながる。
三井物産の年間あたりの自社株買い(発表ベース)で4000億円は過去最大となる。11日午前10時の発表を受けて三井物産株は上昇に転じた。一時前日比5%高の2960円まで上げた。
三井物産は23年3月期までの前中期経営計画でキャッシュインのうち約8000億円を投資や還元に使わずに財務体質強化に充てていた。市場では追加の自社株買い余力があるとの見方があった。
【関連記事】
- ・三井物産CFO「投資の候補は3.6兆円ある」 還元と両立
- ・三井物産が最高益 4〜6月純利益9%増、資産売却が寄与
- ・三井物産、子会社統合で卸改革 発注にAI活用・低温充実
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。