旭化成は25日、カナダに新設する電気自動車(EV)向け電池の主要材料「セパレーター(絶縁材)」の工場について、ホンダと協業し合弁会社を設立すると発表した。総投資額は1800億円を予定し、ホンダからの出資やカナダ政府の補助金も活用する。記者会見した工藤幸四郎社長はホンダとの連携について「出資によって投資リスクをコントロールしつつ、需要が確保でき安定稼働につながる」と述べた。
合弁会社へのホンダの出資額は秋までに固める方針。工藤社長は「旭化成がマジョリティーを持つ」考えを示した。
総投資額1800億円のうち、ホンダからの出資のほかに日本政策投資銀行が280億円を支援し、カナダ政府や州からの補助金も受ける。補助金額は交渉中で旭化成の出資額は「できれば総投資額の半分以下に抑えたい」(工藤社長)という。投資回収は2030年代前半を想定している。
段階的に投資し、第1期となる今回の生産能力は塗工膜換算でEV100万台分にあたる約7億平方メートル。27年の運転開始を予定する。カナダで生産するのは湿式タイプのセパレーターで、31年度の同事業の売上高を22年度に比べて約5倍の1600億円に伸ばす。営業利益率は20%以上を目標にする。
北米での車載電池向けのセパレーターのシェアで30%以上を目指し、第2、3期の投資も検討する。第2期については今後1年程度で決定する方針。「生産能力は1期とあまり変わらない規模」(工藤社長)になるが、初期投資がない分、1期よりは投資額は抑えられるとみている。
足元ではEV市場の成長スピードの鈍化も懸念されているが、工藤社長は「短期的に多少の足踏みはあるが、30年のEV過半化に向け市場拡大は続く。政権交代などがあってもインフラ投資法(IRA)の優遇がゼロベースになる確立は低いとみている」と述べた。
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